Monberaux : はくろ~さん、どうも北の地で大変なことがあったようですね。
Monberaux : 親衛隊の方々に尋ねてもよほどの口止めがされているのか、
まったく要領を得ませんが、その不安は感じ取れます。
Monberaux : それに……どこからともなく、
世界の終わりが近づいているという、不気味な噂が流れています。
Monberaux : その噂には、あのお嬢さん……
アミュレットを奪われたお嬢さんが絡んでいるというのは本当ですか?
Monberaux : 彼女はその件でジュノ親衛隊に手配されているとか……。
Tenzen : 本当の原因は、あの少年でござる!
プリッシュ殿は、ただただ、ふりまわされているだけでござる!
Monberaux : ああ、あなたは!
Tenzen : 邪魔するでござる、薬師の方。
Tenzen : おお、はくろ~殿!大変でござるよ!
Tenzen : 我輩、ジュノ大公宮にて話をきいてきたのでござるが、
今、ジュノではバハムート討伐のために、
大規模な作戦準備が進んでいるでござる。
Tenzen : いくら人を滅ぼすと息まいているとはいえ、
バハムートはヴァナ・ディールを守りし5霊獣のひとつ。
Tenzen : 我輩、バハムートをどうにか説得できぬものかと、
その作戦の指揮官である、エシャンタール殿に同行を願い出たでござるが……
Tenzen : 一蹴されてしまったでござる。
彼らに話し合いの余地はない、彼らが一斉に各都市を攻撃する前に片をつけねば、
人に勝ち目はないと。
Monberaux : ちょっと待ってください。
今の話、いったいどういうことですか?
Monberaux : 各都市を一斉に攻撃するなどそんな物騒な話……
まさか、現実のことではありませんよね?
Monberaux : そんな大変なことが!?
真龍が各都市を襲う画策をしているなど!?
Monberaux : そうだ、他の都市にはもう、知らされているのですか?
戦いの準備は、なされているのですか?
Tenzen : いや、おそらく通知されておらぬ。
空への武器を持たぬ我らと、彼らとの力の差は歴然。
Tenzen : それに、もっとも恐るべきはバハムートの力。
空の覇者と呼ばれるバハムートには、
その名のとおり、空間を制御する力があるのでござる。
Monberaux : 空間を制御……?
Tenzen : 彼らが各都市の上空に現れた時点で、人の負けは決まる。
そのとき人は、抗うことも許されず、滅びる他ないでござる。
Monberaux : ……。
Tenzen : しかし、まだ手は残されているでござる。
Tenzen : エシャンタール殿の話では、バハムートは
配下の真龍たちを一斉に転移させるために、魔力を蓄えている最中だそうでござる。
Tenzen : バハムートが、魔力を蓄え終える前に、
バハムートを説得することができれば……
Monberaux : ……そんな……
説得などしている場合なのですか?
世界の終わりが、目の前にあるというのに!
Tenzen : !!!
もちろん、説得できるでござるよ!
我輩と鳳凰丸、そしてはくろ~殿がいる限り!
Tenzen : そのためには……そうでござる!
薬師の方、我輩たちに教えていただきたい!
Tenzen : あの少年が最初に見つかったという場所を!
Monberaux : ……!
Monberaux : ……わかりました。
ウォルフガング……ジュノ親衛隊隊長には
口止めされていたのですが、もちろん、お教えしましょう。
Monberaux : あれは、クフィム島にあるデルクフの塔。
その塔の北側に、地下へ下りる階段があるのです。そしてその先には……
Monberaux : 私にはうまく説明できません。
ただ、その部屋の中央に、あの少年は突然現れたという話です。
Tenzen : かたじけないでござる!
クフィム島にあるデルクフの塔。
我輩、行ってみるでござる。
Monberaux : しかし、武士の方、地下へ降りる扉は閉ざされていますよ。
あのときは、事故のために開いたそうですが。
Tenzen : ふぅむ。
しかし、我輩の鳳凰丸があればおそらくは……
Tenzen : はくろ~殿、
先に行くでござる。では、ごめん!
Monberaux : はくろ~さん、
無駄足を踏ませてしまうかもしれませんが、
あの扉を開く方法、私からウォルフガングに尋ねてみましょうか。
Monberaux : 正義感の強い彼のことです。
世界の終わりを知りながら、自分ですべてを背負い込んでしまっているかもしれません。
Monberaux : 同じ志をもって
戦う人がいるということを、教えてやらねば……。
この手紙をもってジュノ大公宮の衛兵詰所を訪ねてみてください。
Pherimociel : なに、隊長に用だって?
Wolfgang : はくろ~、ちょうどよかった、おまえを探していたのだ。
Wolfgang : カムラナート様の代理としてエシャンタール様が、
おまえに北の地で起こったことについての話をききたいと申している。
Wolfgang : ……?
なんだ? 封筒?
Wolfgang : ……モンブローからか。
とりあえず受け取っておこう。
Wolfgang : しかし今は、おまえの件が先だ。
さぁ、俺についてこい。
Esha'ntarl : 来ましたね。
冒険者はくろ~。
Esha'ntarl : 北の地に眠る
4つ目の母なるクリスタル。あなたはそれを守ることができなかったということですね。
Esha'ntarl : それどころか、あなたこそが、あの少年を導く役目を担っていたとか……。
Esha'ntarl : ……そんなにかたくなる必要はありませんよ。
Esha'ntarl : ナグモラーダはあのアミュレットのことを
自分ひとりの胸の内にしまっていました。
Esha'ntarl : そのことが今回の失敗を招いた大きな原因です。
Esha'ntarl : それに、あの少年の正体がわかった今、
あなたとあなたの祖国に疑いをかけたこと、
それが誤りだったということもわかりました。
Esha'ntarl : 共にヴァナ・ディールの未来を憂える身として、
これから先は力を合わせて参りましょう。
母なるクリスタルを守るがために……。
Esha'ntarl : ところで、はくろ~。
Esha'ntarl : 4つ目の母なるクリスタル。
そこでは、とても不思議なことが起きたそうですね。
Esha'ntarl : あなたが連れてきたタブナジアの少女が、
セルテウスを助け、ナグモラーダの計画を妨げたとか。
Esha'ntarl : 正直に答えてください。
そのことに間違いはありませんか?
Esha'ntarl : そう、ですか……。
私たちは今、その彼女を探しています。
Esha'ntarl : 罪を問うためではありません。
むしろ、その身の安全を保障するため。
彼女はとても危険な状態にあるのです。
Esha'ntarl : ひとつ目の脅威は、ナグモラーダ。
彼は、4つ目の母なるクリスタルが「虚ろなる闇」に
包まれた罪を、彼女ひとりに着せようとしている。
Esha'ntarl : 彼がその少女を見つけたならば、都合の悪いことを喋らせぬために、
ためらいなくその口をふさぐことでしょう。
Esha'ntarl : そして2つ目の脅威はあなたがたが追っていた少年、セルテウス。
彼の次なる目的は、5つ目のクリスタルに間違いありません。
Esha'ntarl : しかし5つ目のクリスタルははるか海底にあり、
彼女はおそらくその場所を知っている……。
Esha'ntarl : 最後に3つ目の脅威。
それは南から訪れている暗殺者です。
Esha'ntarl : あなたはもう
どこかで噂話を聞いたかもしれません。
タブナジアの僧侶の罪を問うために、
海を越えてやってきたミスラのことを。
Esha'ntarl : 彼女たちは決して罪を見逃さず、決して手を緩めません。
Esha'ntarl : ですからいいですね、はくろ~。
Esha'ntarl : 彼女を見つけたら、ここに連れてきなさい。
決して、悪いようにはいたしません。女神アルタナに誓いましょう。
Nag'molada : 失礼する!
Nag'molada : はくろ~か。
第4の母なるクリスタルにてあったこと、嘘偽りなく、説明しただろうな?
Nag'molada : 私の計画に不備はなかった。
あのプリッシュという女が来さえしなければ、
セルテウスを止めることができたのだ……。
Nag'molada : いいか?
あの女は、セルテウスの心の言葉を聞き、
「石の記憶」を歌い、彼が逃げる手助けをした。
Nag'molada : あの女が持っていた「絆の証」。
あれは人の心と心を繋ぐもの。
おそらくあれを介して、セルテウスにその身を乗っ取られていたに違いない。
Esha'ntarl : ……。
Nag'molada : だが、それはつまり、
私たちにヤツの真意を聞き出す機会も与えられたということだ。
Nag'molada : あの女を捕らえ、その身を裂けば、必ずわかることだろう。
神都アル・タユを守るために現われたという、セルテウスの真意が……!
Mawl'gofaur : 惨めな。
我らの聖戦、往古に終結せしこと……セルテウスは知らぬのか?
Kareh'ayollio : 愚かな。
我らの神都は、往古に滅びたこと……セルテウスは知らぬのか?
Nag'molada : もしくは、私たちが知らぬのかもしれない。
聖戦の真の結果、神都の真の結末を……!
Nag'molada : 私は今一度、神都アル・タユの調査をすべきだと提案する。
Nag'molada : セルテウスが生き残った理由。
彼がクリスタルに触れる理由は、すべてそこにあるに違いないからだ。
Nag'molada : そのために、まずは、第5のクリスタルへと続く
クリスタルラインの調査を行いたい。
Nag'molada : セルテウスのために封鎖された
デルクフの塔「クリスタル・ターミナル」への入室許可を、ぜひ……
Esha'ntarl : ナグモラーダ。
神都アル・タユの調査を行う必要があるということ、
あなたの主張はよくわかりました。
Esha'ntarl : しかし……
Kareh'ayollio : アルマター機関の決定は既に下されている。
おまえにはバストゥーク近くに現れた、獣人モブリン族の調査が命じられている。
Mawl'gofaur : セルテウスに関してはエシャンタールが引き継ぐことになったのだ。
後は彼女に任せたまえ。
Nag'molada : しかし、エシャンタールは真龍バハムート討伐の任にあたる者。
Nag'molada : セルテウスの件は、その片手間に処理できるほどたやすいことではない。
Kareh'ayollio : そう、その通りだ、箱を使った奇襲は、もはや意味がない。
Mawl'gofaur : そう、そのすべてはおまえの失敗のために、な。
Nag'molada : く……。
Esha'ntarl : ナグモラーダ、誤解せぬように。
私たちはあなたの不備を責めるつもりはまったくありません。
Esha'ntarl : ただ、あなたの力、多種族との交渉に長けたクリュー人としての力が
モブリンを相手に必要とされているのです。
Nag'molada : ……しかし……!
エシャンタール、今のセルテウスは我らの想像を越えた力を持っている。
Nag'molada : あの箱も失い、5つ目のクリスタルへの道も絶たれている今、
おまえはどのようにして、ヤツを処理するというのだ!?
Nag'molada : 納得のできる答えをおまえが示せるとは思えん!
Esha'ntarl : わかりました。
そこまで言われるのでしたら、ナグモラーダ、お教えいたしましょう。
Esha'ntarl : 私が箱なくとも、彼を封じることができること。
母なるクリスタルの元にいかずとも、彼をおびき出すことができること。
Nag'molada : ……な、なんだと……?
Esha'ntarl : すべて、聞いているのでしょう、セルテウス?
Esha'ntarl : もうひとつの「絆の証」。
それは私が持っているのです。
Esha'ntarl : お待ちしていますよ。
定めの地で。あなたが定めに添うことを。
Wolfgang : この封筒の中身は分かった。
モンブローに返してくれ。これはたぶん、
あいつが大切にしていたものだ。
Wolfgang : それにしても、あいつは……。
Monberaux : やはりウォルフガングはそれが
何か分かったようですね。あなたもそれに
記された場所へ行ってみるといいでしょう?
Monberaux : え、どこへ行けばいいかって?
フフッ、それは「ひみつのちず」ですからね。
それは内緒です。
Wolfgang : そんなところを調べても
意味はないぞ、おまえにはな。
Wolfgang : ここだったか……。
すっかり忘れていた。
Wolfgang : 昔、ジュノに2人の幼なじみの少年が
いてな。いつも一緒に街の中を走りまわっていて、
いろんなイタズラもした。ケンカもしょっちゅうだ。
Exsからパーティの誘いを受けました。
Wolfgang : そんな2人が、ある日ガラスのかけらを
拾った。本当に何の変哲もないガラスだったけど、
2人にとってそれは宝物になった。
Wolfgang : そのガラスを通して見る風景は
とても不思議で、美しかったんだ。
2人は奪い合うようにして、それを楽しんだ。
イベント中は使用できません。
Wolfgang : ついには街の中だけでは飽きたらず
父親の言いつけも聞かずに
こっそり橋を抜けてここまで来た。
Wolfgang : 今のおまえや俺ならば
ここへ来るのはたいしたことでもないんだろうが、
子供にとっては大冒険だ。
Wolfgang : でも、その大冒険の先には
大きな宝物が待っていたんだ。
Wolfgang : ここからガラス越しに見る
ジュノは雄々しく、猛々しかった。
2人は自分たちの街がこんなに美しかった、って
ことにその時初めて気づいたんだ。
Wolfgang : それからも、父親の目を盗んでは
ここへ来てジュノを見ていた。
Wolfgang : だけどそんなある日、
少年の1人がこう言った……。
Monberaux : ガラスを通さなくても、ジュノはとてもキレイに見えるよ。
Wolfgang : モンブロー……。
Monberaux : ここは久しぶりですね、ウォルフ。
Monberaux : いやぁ、ホントにきれいだ……。
そう思わないか、ウォルフ?
Wolfgang : モンブロー、ここへ何をしに来た?
Monberaux : いや、久しぶりにジュノを
眺めたくなっただけですよ。
ウォルフこそ、何の用で?
Wolfgang : ……たまたま通りかかっただけだ。
Monberaux : そうですか……。
Wolfgang : ……。
Monberaux : ウォルフ。
Wolfgang : 何だ?
Monberaux : あのガラスは僕のものですよ?
Wolfgang : なにっ!?
Monberaux : あれを2人でここに埋める時に
言ったじゃないですか、
『モンブロー、これはおまえのものだ、
俺にはもう必要ない』って。
Wolfgang : ヌッ……、俺がそんなこと言ったか?
証拠は? 証明書はあるのか? 署名付きで?
Monberaux : ハッハッハッ、変わってませんね、
ウォルフ。ウソですよ、欲しければ掘り起こしても
いいですよ。
Wolfgang : ……いや、いい。
あれは2人の少年たちのものだしな。
Monberaux : ウォルフ……?
Wolfgang : それに俺は、またガラスをここに
埋めに来たんだ。いつの間にか自分が持っていた、な。
Monberaux : ……。
Wolfgang : いつからか、自分が何を守っているのか分からなくなっていた。
Wolfgang : あの時、親父が命をかけて守っていた
ものが何なのか分かったような気がしていたけど、
何も分かっちゃいなかったのかもしれん。
Wolfgang : でも、もしかすると、今ここに来て
少しだけ、本当に少しだけ、それが分かったような気がする。
Wolfgang : ……そう思いたい。
Wolfgang : じゃあな、モンブロー。
Wolfgang : ん、あれが見あたらんな。
もしかすると、間違って埋めてしまったか……?
Wolfgang : まぁいい、始末書と減棒ですむだろう。
モンブロー、その時はおごってもらうからな。
Monberaux : フフッ、喜んで。
Monberaux : 本当に変わってませんね……、
やっぱり。安心しました。
Monberaux : さぁ、あそこを掘ってみるといいでしょう。
きっとあなたに必要なものが埋められてます。
Monberaux : でも、ガラスは持っていかないでくださいね。
あれは2人の少年の、とても大切な思い出ですから。